蓄電装置ではエネルギー密度,つまり重量あるいは体積当たりどれだけの電気が蓄電できるかが肝腎である。ECaSS®の研究が始まった1992年当時、図2の手前に写っているようなコイン型の電気二重層コンデンサが半導体メモリーの停電バックアップ用に,既に商品化されていた。中央の大きな(約250ml)円筒型も,パワー用キャパシタとして注文生産されていた。だが,これらのエネルギー密度は電池に遠く及ばなかった。当時の電気二重層キャパシタは1〜1.5Wh/kgほどで鉛蓄電池の実力値25Wh/kgの約1/20に過ぎない。電気自動車に鉛電池を400kg積む代りにキャパシタでは8トン。これが原因でキャパシタのエネルギー貯蔵装置としての普及は,キャパシタメーカー各社の研究と販売努力にもかかわらず,発展しなかった。
キャパシタにエネルギー密度を求めるのは無理だから,低い内部抵抗による瞬発力を利用し電池を補なうのに使おうという考え方は以前から存在した。米国ではDOE
(Department of Energy) が巨額の予算と4つの国立研究所を含む13企業を擁して1992年からUltracapacitorプログラムを積極的に進めていたが,成功の見込みがないとして目標未達のまゝ1998年で終了した。これは日本および欧州のこの分野の関連各社にとって大きな衝撃であった。米国の自動車メーカー等のキャパシタへの関心もこれで一挙に減退したという。
だが当時の筆者らの仲間は,この頃も希望に満ちていた。そこには思いがけない手段があったから。
|